頑固社会人がブログ始めてみた

子育てパパが等身大で日々の出来事や感じたことについて書きます

茶目っ気おじさん ~教授であり,お茶目である~

東京では変異種が広まっているという報道もあり,コロナの脅威を益々感じる方も多いだろう。コロナの影響で最近は会議もリモートで行う場合がほとんどである。

 

僕が参加した学会も漏れなくリモートであった。

といっても,学会のイメージがつかない方もいると思うので

まずは学会の構成・進行について説明する。

 

学会というのは下のようなプログラムで構成されている。

学会のプログラムというと難しく感じるが,見方はテレビの番組表と同じである。

テレビ番組表にはフジテレビ,日テレ,テレ東などが上の欄にあり,時間によって見れる番組が決まっている。 同じように見てほしい。

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プログラム

例えば,力学に関する学会があったとすると,学会を構成する大きなセッションとして四つの力学,「熱力学,流体力学,材料力学,機械力学」に別れており,各時間に応じて発表がある。

通常の学会では発表の会場が指定されており,セッションの決まった時間に発表会場に行くことで発表を聴講できる。

 

リモート学会は会場はなく,発表者がPCのデスクトップ共有を行い研究内容を発表する。

いわゆるZoom,Teams,Skype,WebExなどといったリモート会議ツールを用いて,セッションの司会者である座長(大半が教授)がプログラムの時間に沿って,発表者(学生,企業研究者,教授)に会議ツールの制御権を与えてデスクトップ共有が行われる。

視聴者は好きなセッションのリンクに入ることで発表画面を見れるというシステムだ。

視聴者は自由にセッションを切り替えることができ,9:00~9:15は熱力学の発表,9:15~9:30は流体力学の発表を聴講するといったことが可能である。

(テレビ番組を切り替えるイメージ)

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学会の進行方法

さて,前置きが終わったところで本題に入ろう。

僕はそのとき会社で学会を聴講していた。

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プログラム開始前に席について画面を見ていたところ,座長のとある教授が登場した。

教授は恐らく配信用と配信に問題がないか確認する用にPCを2台用いていたのだろう。

時折,横を向いて配信確認用のディスプレイを見ているであろう姿が配信されていた。

 

開始時間になり教授が言う。

「そろそろ時間ですが・・・」

すると少し遅れて声が聞こえてくる。

「そろそろ時間ですが・・・」

恐らく教授の確認用の画面から聞こえた音が,配信用のマイクに入っているようだ。

 

続けて,

「どうですか。もう少し待ちますかね」

「どうですか。もう少し待ちますかね」

その時だった。

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待とうか悩んでいるときに聞こえてきた配信の自分の声を,別人と間違えたのだろう。

「もう少し待ち」に反応して,「あ,待ってほしいとのことですので」と言って1分待ち始めた。

 

当然こちらとしては教授が言った言葉は二重に聞こえてくる。

「あ,待ってほしいとのことですので」

「あ,待ってほしいとのことですので」

 

自分が話しているときに聞こえる声と,話を録音して聞く声とでは聞こえ方が違う。

視聴者側のマイクは制御不能になっており,1分待つことに。

 

~1分後~

「どうですかね,まだ待ちますかね」

「どうですかね,まだ待ちますかね」 

しゃべりながら,また聞こえてきた「まだ待ち」に反応して「”まだ”ということらしのでもう一分だけ待ちましょうか」と言って待ち始めた教授。

 

話を聞く限り嘘だと思うだろう。

だが本当なのだ。。もはや聴講者をからかっているのかと思うほどである。

教授にも絶対二重で聞こえているはずなのに,なぜ自分の声と気が付かないのか・・・

教授になる方なのでとてつもなく頭が良いはずなのだが,たぶんド天然なのだろう。

 

~1分後~

「そろそろ大丈夫ですかね?」

「そろそろ大丈夫ですかね」

 

今度は配信の自分の声で「大丈夫」と聞こえたからか,安心したように教授は言った。

「それではセッションを始めましょうか。」

やっと始まった。

発表中は特に問題も起こらず,発表者が無事発表を終え,質疑応答に移っていた。

 

学会あるあるだが,質疑応答次第で講演時間が多少長引いたり,早く終わったりする。

このときも例外ではなく,当初プログラムで予定されていた時間よりも長引いていた。

長引いた弊害は,セッションを移った時に生じる。

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遅れたことの弊害

各セッションで各座長が進めるため,セッション間に関しては発表の開始時間が多少ばらつくのだ。

 

おかげで,次に見るはずだった発表については研究背景や目的が見れないまま実験結果のみを見る羽目になった。

「あの空白の二分がなければ見れていたかも・・・」

と思いつつ,聞くはずだった研究内容よりも価値のあるものを見れた気がした。

お茶目な教授の心温まるほっこりエピソードである。